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8.マイオセントリック

Neuromuscular concept

Jankelsonはマイオパルシングによって筋の不随意な収縮や、、咬合のインバランスなどによる異常な筋活動が排除でき、Myo-Monitorによって下顎が挙上して得られた下顎位(マイオセントリック)は、生理的下顎位であるとしました。

マイオセントリックの研究では、咬頭嵌合位より前方になり、使用に適さないとの意見もありますが、機能的なClassIII症例では咀嚼筋の安静化に伴い、下顎が習慣性咬合位より後退位をとることも珍しくありません。山下らの一連の研究によれば、マイオセントリックは、Brillのいう筋肉位ときわめて近い下顎位であり、より適正な下顎位がほとんど存在するPhysiologic centric zone (PCZ,山下1993)にマイオセントリックが存在することから、マイオセントリックは、生理的状況によくマッチした下顎位であると述べています。

Physiologic Centric Zone
MC:マイオセントリック MCP:筋肉位

マイオセントリックは、マイオパルスによる咀嚼筋群のメタボリズム亢進によるリラクゼーションによって獲得された生理的下顎安静位から、第V・VII脳神経支配下の筋群の不随意な収縮によって得られた下顎位であり、下顎骨の中心性を有する(下顎を偏位させている不正な筋トルクを排除した)筋肉位の1つと言えます。

しかし、下顎安静位の項目で説明したように、全身の姿勢要因や精神的・情緒的要因や環境など条件刺激によって筋の緊張が惹起されたり、マイオパルスによる一過性筋収縮が表情筋にも生じていることから、マイオセントリックから必ずしも適切な咬合位を決定できない場合もあり得ます。従って、それを検討するために、オクルーザルスプリント(オーソシス)で適切と思われる咬合位を与えた後、EMG・MKGの様々な検査項目で検査するとともに、(規格)X線写真・模型などで総合的に診断することが必要です。

下図は、TMDと審美的改善を主訴とする、当時23歳女性の初診時の下顎運動解析装置(MKG/K6-I Diagnostic system) Scan5の記録です。マイオモニターで45分パルシング後マイオモニターを止め、タッピングしていただきました。1回目のタッピングでは、点線で示すマイオトラジェクトリー(マイオモニターによって下顎が挙上した下顎前歯正中部の軌跡を延長した仮想閉口路で、この線上に治療位であるマイオセントリックを任意に設定する。)上に沿って閉口しますが、特定の歯に早期接触し、タッピングを繰り返す度下顎は、右上後方向に偏位して習慣性咬合位に至ります。これより、既存の習慣性咬合位は、マイオモニターで咀嚼筋のリラクゼーションをはかった安静位(この段階では、まだ生理学的下顎安静位とは言いがたい)から0.1mm後方で、2.1mm右側にあって、2.1mmの安静空隙ということが分かります。

S5 Before Treatment

次の図は、同じ患者に機能的矯正装置と歯列矯正でマイオセントリックに咬頭嵌合位を誘導して治療した、予後2年のScan5です。咬頭嵌合位は、マイオトラジェクトリー上にはありませんが、マイオパルシング後の非常に安定した生理的下顎安静位より前方に0.5mm、側方にはズレが無く、フリーウェイスペース1.6mmで安定したタッピングを行っています。

S5 2year post-operative
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